2015年2月22日日曜日

飛行場のサインにおける北欧スタイルと日本スタイル

2月15日から21日にかけて「公共サイン」の調査研究に行ってきました。
まず、日本とヨーロッパの飛行場を比較すると「サインの読み手」が誰であるのかについて大きな違いがありました。そこで、今回はフィンランドと成田を比較してみようと思います。

フィンランドの飛行場は「誰でもわかる」ということを念頭にサインを掲出していることがわかります。たとえば、写真のピンク色のExitのサイン。視認性もそうですが、余計な言語は一切書かれていない。ゲート番号も単純に数字だけとなっています。


飛行機を降りて、次は手荷物を受け取る、もしくは乗り換えの場合は指定された搭乗ゲートに向かうという一連の流れ、いわゆる<スクリプト>を有していればバックのピクトグラムとExitで次に行く場所を示しているということが読み手に理解できます。
フィンランドのデザインはいわゆる北欧デザインのカラフルでシンプルという特徴が飛行場のサインにも見て取れます。

一方、成田空港は「特定の言語話者にしかわからない」というものでした。つまり、全てを言語化する。乗り継ぎ案内は日本語、英語、中国語(北京語)、韓国語の4言語のみで、たとえばアラブ諸国からの乗り継ぎ客にとってみれば不親切なものになる。
これを<言語による説明方式>と仮に名付ける。
こうした<言語による説明方式>にしてしまうと、全てのサインを言語にて表記する必要性が生じてくる。成田空港の税関を出たところでは次のようなサインが掲出されていました。


レンタカーには英語、中国語、韓国語の表記がなされ、コーヒースタンドには英語だけと、いったいどんな基準なのでしょうか?おそらく観光客がレンタカーを借りることがあるだろうから多言語表記にしているということでしょうか。
次のサインは成田空港の地下の電車乗り場へ向かうところにあったものです。

「ペットホテル」の多言語化は必要でしょうか?外国人観光客にとって必要な情報を多言語化するという前提であるなら、ペットホテルが外国人観光客にとって必要なものという判断があったのかもしれませんが、レンタカーを利用する観光客の数に比べると少ないのではないでしょうか?つまり、多言語表記の基準が決まっていないと考えられます。
そのため、各部署や企業が独自に他言語表記をしているため、次のような混乱した例も見られます。同じく成田空港のJR成田エクスプレスと京成スカイライナーの切符売り場です。

切符売り場の英語と韓国語表記がそれぞれの企業で異なります。Ticket OfficeとTicket Counterと異なっているのは、やはり統一した表記法が存在していないからでしょう。また、使用されているピクトグラムも異なっています。こうした<ガラパゴス的>ピクトグラムも日本の言語景観に対する配慮のなさがうかがえます。
日本の特徴として、何でも説明してしまうことと統一された表現方法がないというものをあげることができました。
極めつけは、成田空港のトイレのサイン。
「男子トイレです。ご自由にお使いください。」と、空港のトイレを使うのにご自由にお使いくださいとそこまで丁寧に言われなくとも。。。
Toilet for menというのもいかがなものでしょうか?男性のピクトグラムだけで問題はないのではないでしょうか?むしろ日本語が読めない外国人にとって、ここに文字が書いてあることで、「これはひょっとして職員専用と書いてあるのでは?」と思ったりする可能性も避けられません。親切に書いてしまったことで誤解を招く可能性が潜んでいるのです。
(倉林秀男)